朝日山(あさいさん)

朝日山(あさいさん)

ここ数年、年越しは松江市鹿島町・朝日山で迎えています。

山上には出雲観音霊場第29番札所の朝日寺があり、訪れる人が絶えません。かつては古浦の漁師が支えた寺だと聞きました。

ある大晦日のことです。

日中も雨が降ったりやんだり、夜9時ごろに出かける前も霰でした。ところが、山に踏み出せば星空に下弦の月。なんと気まぐれなことでしょう。

風がやみ、古浦地区の海から聞こえる波の音も単調で、歩いていると体がほてるくらいでした。「今年は穏やかですね」と、寺の住職と顔を合わせました。山の仲間も上がってきて、おしゃべりをしているうちに、一つ目の除夜の鐘が鳴りました。

参詣者も交代で鐘を突かせてもらいます。鐘の音は、間近で目を閉じて聞いていると、まるで闇夜に空気の振動を手で掴むような質感がありました。

少し遅れて上がられたのは南麓・長江地区の方でした。この夜半に若い人の姿を見かけなくなりましたが、初日の出には詰めかけるようです。本堂でお勤めの後、休憩所で用意された温かいおでんなどをいただき、手を振って仲間と別れました。

 

朝日山(あさいさん)

窓の外で吹雪く音が聞こえる。母の調子もよくないので、ますます出る気が萎える。それでも「やめていたらきりがない」「山に関しては」と思い切った。

風の鳴る音は、外に出ると意外に雪が着雪していない様子と建物などの立地で強く感じることがわかった。気温も体感は寒いが凍るほどではない。

長野氏が同乗し古浦へ向かう。細い路地を抜け林道に入り山腹のグランドゴルフ場から登った。傾斜が緩いことと短時間で登れることが理由だった。もちろん私の体調を考えてくれてのことだ。古浦、恵曇の街灯の明かりを見ながら、海の波音に胸を震わせながら登った。東の峰の山頂に着いても音と光が名残惜しい。

朝日寺の休憩所に入るとガランとしている。和尚も「今日は風が強いから」と人の訪れを期待できない様子だ。23時半を回ってようやく「必ず来るはずの」二人が来た。近隣の住人、アルペンクラブの知己・・・。そろった。鐘の音が響いた。

十八夜が雲に隠れた。さっきまで煌々としていたのに・・・鐘の音はどこまで響くんだろう・・・と問いかけられたら「月が聴いている」と答えよう。遮るもののないすべてを透過するような鐘の音。木が立っていても岩が塞がっていても貫いていくような・・・体の中の黒い物を、やんわりと突き刺していくようだ・・・。

 

本堂で新年初の御勤めを授かって、休憩所で新年を祝った。用意されたおでんと豚汁をいただく。用意がいい人は酒が入る。

「また来年会いましょうね」と言われて慌てて「今年の終わりに、よ」と訂正した。

蛇は這うだけで前進しかできない。そして、また1年は突風のように過ぎるに違いない。

 

(山行日 2012年12月31日)

 

*出雲北山の鹿の食害。松枯れ、竹の繁茂の三重苦。大万木山の皆伐の危機と阻止。匹見・鈴の大谷山の全山伐採。益田市は材木の街として栄えたこと。昭和30年代まで。

 

*コースタイム 北田町(21:15)古浦・GG場(21:52)14.3k山頂(21:23/01:33)古浦(01:55)帰宅(02:30)

*現地アクセス