寄稿「銅ヶ丸鉱山跡」

晩夏でもっとも暑い頃にお訪ねしたことになったかもしれません。
私としては、鉱山への斜面を登ること以外は、夏向きでよかったと思いました。川をなでるそよ風の気持ちのいいことです。
ですが、暑いことを心得たような登山者ばかりではありませんので、案内する反田氏は気が気ではなかったようです。
一対一のぜいたくな「ガイド付き」でした。
今津川の水はとても澄んでいますが、魚は棲んでいません。公害はありませんが、そこは採掘の影響でしょうか。
反田氏は、学術的な意味での鉱物の関心を高めたいのではなく、あくまで「自然観察会」という、流域を歩くことで、銅山とその周辺への興味を持ってもらいたいという趣旨のことを話されました。
いたって不勉強なことで、長く山歩きを続けているのに、山野草にも地質にも詳しくありません。ふだん、劣等感でいっぱいなのです。
けれど、久しぶりに県西部に足を伸ばしますと、その解放感と未知の景色に遭遇する感動で、頭はいっぱいです。
カコウ岩の岩場を流れ落ちる滝を見て、「まさに『石見』ですね」と言うと、反田氏はニヤリと、してやったりの風でした。
どこか無造作に石を叩き割り、切り口を見せてもらって、表面との違いにびっくりした・・・ルートのハイライト・「青緑色の壁面」よりステキな宝物を見せてもらったようでした。

壁面に近づいて
採掘跡