寄稿「甘南備寺山」

2014年10月に訪れた当時は、山中の甘南備寺跡には足を踏み入れていなかったと思います。平坦地の並びで、不思議な文様のお墓はよく覚えていますので、それをなぞったあたりで下山しました。
その前日には稜線続きの岩城山に登っています。これは、山陰中央紙に当時、廃線予定となっていたJR三江線にまつわる記事のなかで見つけました。新聞社支局をたどって執筆者に連絡をとりました。その時は、その方に頼ることなくアタックしました。
この山も登山口は江川沿いにあり、登ることはできたのですが、目的地の「びょうぶ岩」まで行きつくことはできませんでした。
甘南備寺山も同じで、入口はわりとかんたんにみつかったのですが、植林帯で登山道なのか広い木々の合間なのかわからず、焦って消耗したのでした。
どちらの山も宿題をかたづけるように「ちょっと里山」の記事に残すことができました。
おそらく、再び登ろうとしても、よそ者の私にたどることはできません。
山に夢中だったころの「宿題」をすませに来ただけなのです。
別にそれが悪いことだとは思いません。
県下の山を歩いて数年、山頂を往復するだけで楽しいか、とわが身に問えば空しいです。いっしょに迷った山友ももういません。
ほぼ初めて登り、おそらくもう登ることのない山で、せめてその山に思い入れのある人と話がしたい、という思いがあります。

山頂部のほこら

墓地

寺跡礎石有り