寄稿「玉峰山」

寄稿「玉峰山」

夏は水のあるところがよろしいと言った思いで書き始めたものの、お終いは違った景色になってしまったようでした。

4~5年ぶりに登った印象は、滝べりの美しさよりも岩が木々に埋もれていることでした。ほんの数年で変わることではありません。けれど、毎年訪れていても毎年木々が伸びているとは思わず、ある年ふっと「そういえば、見えなくなってきたな」と感じたのではないでしょうか。

昨今、山火事が多く大規模化していることを指して「山の木を切らなくなった。だから、木が密になり、家のすぐ裏まで生えてしまっている。昔はこんなことはありえなかった」。こんなに「木を切らない時代」はないと。林業関係のお仕事をしていた知人が話してくれました。

山の木が燃料としても建材としても用いられなくなった戦後。

後段の昭和の記録は、第9回で寄稿した時に集めた郷土資料です。その時からしても9年たっていて、山から木を切り出す用がなくなった現代では、景色のために木を切るなんてできないと思い知るのでした。

国道から玉峰山

雄滝