寄稿「ヒノキ仙」

広域農道から集落を抜け、山に向かって細い道をさかのぼります。こんなに奥だったかと不安になるころ、数軒並ぶ地区にたどり着きます。ホッとして登山口に向かいました。民家の近くが登山口になるのは、標高が低いか集落が奥にあるかなのですが、ここはいわゆる「別所」、山の奥のほうになりました。
1月の末に登った時は、天気がよくても雪が溶けたすぐあとで、竹が折れて道をふさぎ、くぐりながら歩きました。山頂部も木々の枝が折れ、うんざりするほどでした。下山に引き返した時、竹の中を歩くのが嫌で、ふと目に留まった三叉路のもう一方を下りました。道が良く、短時間で車道に出たのはいいのですが、そこから登山口まではぐるっと回って5キロありました。1キロ歩いてギブアップ、地元の人をみつけ、ヒッチハイク。そこで聞いたのが「秋口に登ったけど、そんなに(荒れているのか)?」とけげんそうな反応だったのです。
山頂は、10数年前に来たときは、南面がふもとまでよく見えていたように思います。整備をしたのが岡田町の人たちで、自分たちの町が見えるように切り開くものだから、と聞きました。木が伸び、展望がせまくなった気がしますが、道の手入れのよさに頭が下がり、暖かい気持ちになりました。

三瓶山のほう

宍道湖、左は大船山